2013/09/14

五禽戯~曲黎敏教授解説~

最近、陰陽五行関連に氣がいってます。
動作と経絡の関係など知りたくて調べてました。

北京で太極拳 さまより、以下お借りしました。
中国語が分からない私には、とても為になるブログです
いろいろ勉強させて頂いております。



五禽戯(虎)



※五禽戯が創られた経緯や華佗の弟子との関わりは~ダイジェストで。。。

華佗は、人は運動をした方が良いが、過ぎるのは良くないと常に語っていた。
「どんな風に動くのが良いのか?」と尋ねた弟子の呉普と樊阿に
一套の動作を教えた⇒五禽戯。

虎=肝、鹿=、熊、猿、鳥の動作を真似て、
手足を動かすことよって体力を増強させ、病を防ぎ、治療を助けることも出来る。

開閉するドアは虫が生じなく、流水は腐らない⇒
運動を堅持しなければならないという華佗の思想の闡明。

呉普と樊阿はこれを堅持し続けた。
90過ぎまで生きた呉普は、老いた後も歯、耳、目に問題はなかった。
樊阿は百余歳まで生きた。 


中国医学の立場から≪五禽戯≫を。。。
眼⇒肝が主人、腎臓は耳を開く、歯の主人は脾胃⇒脾臓は筋肉の主人。
心臓、肝臓、脾臓、肝、腎臓の五臓を強くする。

戯⇒遊び⇒楽しみながら(遊びと同じように体を放松)⇒
気持ちの放松⇒快楽が大切。

一般の運動の効果は、内臓までには至らない場合が多いが
五禽戯は、虎⇒肝臓、鹿⇒腎臓、熊⇒脾臓、猿⇒心臓、鳥⇒肺臓をよくする。



「虎戯」の中にある二つの動作から

三焦鍛錬
虎は王者の風格を持つ動物。その何処が肝と関係があるのか?
肝打開将打一個比方⇒称(肝)将軍⇒虎王⇒勇猛

この特徴を認識して行うと、肝に効果がある。
虎戯を解説する前に、動作の説明を。。。

虎の爪⇒手の形は、このような虎手⇒張る力を保ちながら、
関節の一つ一つを引締め(力を入れ)折り曲げます。

この効用は、、、この部分は心包経⇒労宮穴を開きます。
爪⇒指先それぞれに、中国医学では重要な穴(ツボ)=井穴があります。
井穴⇒井戸と同じように気血が生発している⇒
気血の抹消(到達の最先端)⇒毎日鍛錬すると健康に良い。

この部分の鍛錬法としては、テーブルを指で叩いたり、ピアノを弾いたり⇒
こんな風に掌で叩いても効果は得られません⇒
心、肝、脾、肺、腎に効果を与えるには指先を使って叩く⇒
経絡がどのように通っているかを考えた鍛錬が大切です。

虎手の形にはどんな効用があるのでしょう。
中医では、虚は肝と対、肝病は上体に影響を与えます⇒握力が落ちる。

肝と握力には関係があります。
手指に力が無くなったと感じた時⇒掴みにくい、シビれる⇒
肝病=手指に障害が生じる。

肝臓は握る力(手)に変化をもたらせる⇒
日常的に手指を鍛えると肝を強くする。

西洋医学では、70歳以上の人では、
握力がある人ほど長生きだという研究結果が得られているそうです。

握力が強い=肝気が強い⇒日常的に手指の鍛錬をしたほうが良い。

肝経は身体の両側を通っています。
第一の動作(虎拳)の中に、手の上げ下げの動作を見てください。

五行で木の性質をもつ肝は、「木曰曲直」⇒
上に伸びいく時、それとは異なる方向に向かう力が生じる(幹が太くなるなど)⇒
なので、この動作を行う時には「昇中有降」が見られます。

身体の前に手を出し~虎爪を作り~ゆっくりと拳に変化~
上へ挙げ、胸の前で拳を開きながらさらに上~掌を開き切り~
再び虎爪(力を入れて、全ての関節を折り曲げるように虎爪を作る
=肝在変動為握(肝臓と握力は有関係)⇒ので、
必ずシッカリと拳に握る必要がある。

それから、ゆっくりと胸前で腕を平らに~ここから、ゆっくりと拳を開いていく。
これが、虎拳の動作です。

虎拳の動作で大切なのは、、、、
虎爪、拳への変化⇒肝経に関わる要素⇒
上に挙げる~目は必ず手を追う⇒気は目線に随う⇒
目線が上に~気を気にかけずとも、気は自然に上っていく⇒
動作をきちんと行えば、意識せずとも気を巡らせることができる。


もう一つの動作は、虎捕(虎が獲物を捕らえる動作)

拳は初め、両脇から上に挙がります⇒肝胆経は両脇を通っている。
両脇から~前に向かって「捕」

「捕」の時は虎爪。
腰は真っ直ぐに伸ばす~目は怒目。
シッカリと前を見る⇒虎と同じように、勢いのある眼。
怒目⇒肝機能をよくする⇒「肝開巧于目」⇒
肝臓の変化は目影響を与える。

この動作のポイントは、任脈と督脈の通りをよくする。

任脈と督脈とは、、、
背部、脊柱に沿って一直線に上昇しているのが督脈。
「捕」となった時、顔は前を見ている⇒上げている。

任督脈について、
督脈は、人の脊柱に沿って上昇する一条の線。
会陰に始まり人中に至ります。
任脈は、人体の前面正中線を上昇する一条の線。

何故、この二脈を鍛える必要があるの?
督=統領⇒全身の陽気を統率。
任=担任(担っている)⇒妊娠と関係がある=
血と関係がある⇒陰血を管理。

健康気功の重要点は、
経絡の鍛錬を通して気血の鍛錬を行っているところ。
気血の大きな表れは督脈と任脈。

この動作は、督脈と任脈を同時に鍛錬しています。
任脈を鍛える⇒中正線~下顎に至り~人中へ(督脈と交わるところ)。
どうやって任脈を鍛える?⇒下顎を上げる=
頭を上げる⇒任脈を引き伸ばす。

虎捕の動作の前に一つの動きがあります。
伸ばした体を戻す時、体を前後にくねらせます。
これこそ任督脈の鍛錬。

私たちの日常生活でも簡単に出来る動き。
背中を真っ直ぐにして、顎を収める⇒
これでも督脈を引き延ばすことができます。
それから、顔を上に向けると任脈の鍛錬に~

もし、虎捕の動作がうまく出来たなら、
督任二つの脈を引き伸ばすことが出来ます。
同時に、見張るような目で前方を見ると肝の鍛錬にもなります。






最初の動作、≪鹿回頭≫
海南に、この鹿に関する伝説があります。
ある青年猟師が鹿を追って断崖に追い詰め射ようと弓を引いた時、
振り向いた鹿が綺麗な娘に変わり、二人は結婚して三亜の集落を
作ったという伝説があります。

この動作は、その≪鹿回頭≫
鹿が振り返って尻尾(尾閭)を見る⇒心腎相交。

現在では心臓病は心臓の病でがあると言われていますが、
古代の中国では腎経に問題が生じた影響で心臓に問題が生じる
というように解釈していました。

心は火、腎は水⇒
心火が丹田に下りると、腎水が上昇⇒
心火の陽気が腎水の陰液を温養し、腎水の陰液が心火を滋養して
陽気を抑制するのが「心腎相交」、
心腎不交はこの正常の関係が失調したもの。
五臓の機能は、互いに関わりあっています。

鹿戯の動作イメージは、鹿のしなやかさと美しさ。

≪鹿抵≫
手指の型(鹿指)⇒
親指と人差し指、小指は広げ、中指と薬指は曲げます⇒
手印(生命エネルギーの流れを制御する為、手で色々な形を作る
古代インドのタントラ手法の一つ。

仏教の合掌、キリスト教の手を合わせる形も手印の一種)⇒
古代中国では、全身経絡の気血を調整して流す効果があると言われて
いた形なので、この手指の形を守るのは大切です。

身体を回す過程で、鹿指になってから~振り返り、後ろ脚の踵を見る⇒
尾閭(尾骶骨)、背骨を意識して左、右と同じように回す。

出来ないからと、焦るる必要はありません。
功夫は一日にして成らず⇒功夫=時間。
功夫を得たいなら、時間を費やすこと⇒毎日練習することによって、
ようやく功夫がついてきます=練出来(練習の中から出現する)。

初めは型を丁寧にハッキリと⇒それから功用を考える。
鹿抵、目線も大切です。
左に体を回した時には、右足踵を見る⇒目が下を探る=
心火下行となる⇒足踵は腎経=心腎相交となる。

全ての動作、左右共に行います。
私たちの経絡は、左右対称に通っていますから、片方だけの練習はダメです。


≪鹿奔≫
これも美しい動作です。
ポイントは尾閭。そして命門(腎経)の突出。
命門突出=虎戯でも講じましたが、「開任督二脈」のうちの督脈と
大きくかかわっています。

手指の形をこの様にすると、
脊柱がアーチのように盛り上がってきます=開督脈の方法。

中国古代の養生学の中に、
「開督脈、通督脈是難(任脈はもともと開いているが、
督脈はもともと閉じているので通すのが難しい)」と言われています。

督脈にはいくつかの関門があるので、
それを一つずつ通していかなければなりません。

第一は尾閭~上に夾脊⇒通すのが難しく羊車のように通す=
羊の性格~どんな小さな草でも根気よく根まで食べ尽くす」と例えられています。

※ダイジェスト説明⇒羊車・鹿車・牛車を丹家は「為三車牽引」と呼ぶ。
尾閭から夾脊までは、羊が引く車のように細切れに慎重に進む。
夾脊から玉沈までは鹿の引く車のように、大まかに速く走る。
玉沈からは牛の引く車のように大きな力で猛々しく突き進まなければならない。
(補:脳部への気血の循環を促すことが出来る)

鹿抵は、督脈を伸ばして通りを良くしている。
督脈の通りが良くなる=陽気に問題が無い=健康保持が出来る。





五禽戯(熊戯)




五禽戯:第三≪熊戯≫
五禽戯の中の熊戯は、人体の脾胃に対応する動作です。
熊戯の中には二つの動作があります。≪熊運≫と≪熊晃≫
運、晃のいずれも脾胃に関わっています。

脾胃は中焦にあたります。

熊掌の形を見てください。

熊ぶは、手を熊掌にした後~
中院を中心に腹部にある四つの点を通過しながら移動させ、
同時に体を揺らします。
先ず左に~。
脾胃に円を描きます~そして右回し~

この運動のポイントは、両足の膝の力は抜く=
クッションの役割。股は不動。
大事なのは、熊掌による中焦マッサージ。

一般的に腹部(脾胃)のマッサージは、左右の労宮を重ねるようにして
臍を中心にして行いますが、その効果は内部(内臓)まで浸透することは
できません。
けれど、熊運ぶは上体の動きを加えることによって
五臓六腑を鍛錬することが出来ます。

ですので、この動作を正しく行えば脾胃へ良い影響を与えることが出来ます。
手では表面だけしかマッサージできません。

現在、生活上のストレスなどから脾胃に問題を抱える人の数は増えています。
どうしたら防げるか⇒怒らない⇒「怒る」=木克土

例を挙げるなら、
怒った後、私たちは往々にして食欲を失います⇒
怒る(肝気=木)と脾胃(土)がそれを鎮めようとする⇒消化吸収が悪くなる。

また、ある人は、ストレスがあると食欲過多となります。
食欲旺盛~一般的には脾胃が健康な状態ですが、
ストレスによって食欲過多となる(狂喰=満腹感が得られない)は、
胃呆(食欲をコントロールできない状態¬)。
そんな時、この熊運は、脾胃の気の通りをよくする効果があります。


現代社会において、人々の生活は時間的にも緊張を強いられていいます。
飲食においては、食べ方が早かったり⇒脾胃に問題が生じる原因になります。

食事の速度が速い~は、どうして良くないか⇒咀嚼の回数が少ない⇒
消化作業を全て胃に頼ってしまう。

また、ゆっくりとした咀嚼は、唾液の分泌を促す⇒
唾液も又、消化に役立っている。

食べ方が速い上、一日中座ったままで仕事(運動が少ない)⇒
内臓マッサージが出来ない状況⇒消化不良となる。

最悪、脾胃をさすった時に固い部分が出現する⇒
ご飯はユックリ食べましょう。そして、食後に熊運を。

※手を上に引き上げる=吸気、下に下げる=吐(呼)気。

≪熊晃≫
一見不器用にも見える熊の動きですが、動作を正しく行うことで効果がでます。

例えば熊晃、両股への動きが正しく出来る⇒
脾に病が発すると気は両股に溜まる⇒
両股を転しながら運ぶ~両股を大きく揺さぶる~は大切。

一つは、提股(股を持ち上げる)⇒
一般生活では、提股とい動きをすることはありませんが、
この動きの中では意識的に行っています⇒
山に登るのも提股運動です=
熊晃を行うことで、山に行かなくても同じ効果が得られます。

熊晃では、先に股を動かしてから~腿が動くという順番になります。
腕は外に回(外旋)しています⇒
肝に病が発すると、気は両脇に溜まる⇒
この両脇の運動は、肝胆経を刺激する効果があります=
肝胆経を調和⇒緊張を解いて通りをよくする。

肝胆(土)が良くなる(松開)⇒脾胃(木)も良くなる(松開)。
人体には整体(全体が繋がり影響し合っている)という理論が存在しています。
⇒脾胃に問題が生じたら、肝胆を開く。

心臓病と脾胃にも関係があります。
脾胃に問題が生じると心臓に問題が生じます⇒
食べ過ぎると脾胃の負担が大きくなる(新年を迎える時期など、
心脳患者が増える傾向にある)⇒
元気が消化に駆り出され~それでも足りないと心の気が消化を助ける
ために駆り出される⇒心臓に問題が生じる。

脾胃をよくする=気血にも良い影響を与えます。





五禽戯(猿戯)



猿戯は人体五臓のどこに効果があるのでしょうか?⇒「心」です。
誰もが知っている「心猿意馬」という言葉があります⇒
私たちの心は猿と同じように、上に下にと飛び回り落ち着ことがありません⇒
心臓と同じ、いつも動いて定まることがない状態。

心が定まるには功夫が必要になります。
五禽戯の中の猿戯は、どうして定心=定心神ができるのか?

猿戯の中の二つの動作≪猿提≫と≪猿摘≫には、意味があります。

猿提の動きは、子猿の動きに似ています。
先ず、手の形を猿鈎にして、下から持ち上げ~
続けて上に=同時に肩を上げ、首をすくめる。
それから、首を左に回す~正面に戻して~右に回す。

この動作、手腕を上に持ち上げた時、肩首に力が入るので、
痺れるような張るような感覚が生じます⇒
肩の鍛錬になります⇒
心情が緊張すると、その影響は肩背に出ます⇒
肩をすくめるのと同じ状態です。

背中に痛みが表れる原因は複雑です。
道理を知る為に、まず心理面のイライラと関係があるということを
理解してください⇒
肺と心が安定していない時には肩に症状(問題)が出現します⇒
猿戯は肩首部への運動効果が大きく~心臓を上から圧迫する
ような感じになります。
左右に首を回す(左に回し止める~戻し~右に回し止める)という
動作を利用して心臓に圧迫を加え鍛錬しています。

心は血脈の主⇒血脈が衰える=心臓が衰えている⇒
抹消まで血が至らなくなる。
末梢=手指、足指の先端、頭皮、頭部。

この動作(緊張と弛緩の繰り返し)を行うことで、末端へと血を送る
効果が得られます。
陽気を上に流す⇒肩を動かす⇒肩井穴を上げる。

この動作のポイント⇒踵を上げる⇒上(肩を上げる)は
心臓、踵を上げるは腎の鍛錬になります⇒心臓に問題が出る=
心腎相交に問題がある⇒この動作は腎と心の二つに効果があります⇒
必ず収腹、提肛⇒古代の回春術=猿戯を鍛錬する人は、若返る。

摂谷道(肛門筋に力を加えると静脈の通りをよくする)=
収腹提肛⇒全身を持ち上げる⇒古来からの回春術。

会陰穴を引き上げる⇒日常生活の中で提会陰穴の習慣が無いと
五臓六腑(中気)が下降してしまいます⇒
提肛(会陰穴を引き上げる)を気にかけるようにすると、
内臓も上に動き鍛錬ができます=内臓下垂の予防となります。
また、遺尿や失禁を防ぎます。

毎日百回、この収腹提肛を続けていれば、
老いても五臓六腑の健康を保つことが出来ます。

≪猿摘≫は意味のある動作です。
五禽戯の中で最も複雑な動作⇒映像的な動作。

この動作の特徴は小猿のような敏捷性~あちこちを見回し~
前面に桃を見つけます⇒それから、木の上にある桃を採ろうと考えます⇒
高い所にある物を採るには、先ず、下に沈み~脚を出して~
片方の手で障害を払い、もう片方の手で桃を掴む~手の形は握固となる~
体を後ろに戻し、頭を後ろに回し~小猿は掌中の宝(桃)を眺めるという
情景が感じられる動作です。

猿の機敏、用心深さ、桃を手に入れた後の喜び等が表現されています。
宝物を手に入れる~毎日この動作を行うと、自然に心身も楽しくなっていきます。

この動作のポイントとなるのは、
摘桃の動き~両脇をストレッチしています=肝経に効果があります。

肝と心の関係は?
肝は五行に照らすと木、それと心臓(火)の関係は⇒「木生火」
肝気が通る=心にも気が満ちる=心血が足る⇒相応している。
これは単純に肝と心だけの問題にとどまらず~
肝、腎、脾胃などの人体の全ては互いに系統だっているので、
互いに影響し合っています。

桃を採った後、手は「握固」に変わります。
握固は、肝経を鍛錬する時に行われる動作です。
握固の手法は、親指先を薬指の付け根に、
それから四本の指を固く握ります⇒
これは、神様からのプレゼント⇒
生まれたての子供の殆どは、誰れが教えたわけでもないのに
手を握っています⇒自保功。

「握固」の持つ意味は⇒シッカリと拳を握る⇒肝気足。
「固」という字は、何を表しているのでしょうか?⇒
「固摂肝魂=肝臓の気血が漏れないようにしている⇒
通常状態では、魂は肝の中に納まっている」

子供のうちは神門が開いていますが、成長するに従って閉じていきます。
神門は魂が出入りする場所。
神門が閉じるに従って、握固は開いていきます。
子供は大人よりも怖がりです⇒
経験が少ないこともあって、外で起こったことに敏感に反応します。
そんな時、拳を握って気持ちを落ち着かせています⇒
神様が子供に与えた自保功能。

猿摘の、もう一つの心に与える効能は。。。
≪心主神志≫⇒私たちの心が乱れた時、精神的にもアタフタします⇒
心が落ち着くと精神も安定してきます。

落ち着く~に必要な要素は?
猿摘の中では~先ず、観察⇒
観察は、心を安定させる為に重要な要素⇒
自分が周囲のことをまるっきり知らないという環境では、
気持ちが落ち着きません⇒
それから足を出し~手で障害を取り除き、
落ち着いてから果実を掴みます。
この果実は、気持ちを落ち着かせることが出来ます⇒
目的達成を喜びながら獲物を眺めます⇒
心主神明(心の機能が正常であれば
神明は健全、旺盛、明晰となる⇒
心が不正常だと精神や意識に影響し、
色々な障害を生み出し臓腑機能の失調を引き起こす)

この動作を練習して得られる効果は沢山あります。
昔の人たちと現代の人との生活は大きな違いがあります。
以前の人たちは、≪動身不動心≫⇒
毎日体を酷使して働いているが、気持ちは充実していて、
精神的な乱れは少なかった。

現代人の生活は真逆で、
≪動心不動身≫⇒気を使うことが多く、
運動不足気味⇒いつも気が張っていると、
精神が不安定になってきます。

また、社会情勢などが落ち着かない時、
人の気持ちも又落ち着くことができません(=躁)⇒
心に乱れが生じると精神に問題が生じます⇒心猿=
心は、猿と同じようにソワソワと落ち着きがないという
本質を持っています。ので、安定させなければなりません。

猿提と猿摘を練習すると~
≪心主血脈≫と≪心主神明≫が得られ~
平安な気持ちで生活することが出来るようになります。





五禽戯(鳥戯)



この鳥は、どんな鳥なのか?
きっと、仙鶴でしょう。
仙鶴は長寿の象徴。昔の人たちは、拝寿の時には松鶴の絵を贈りました。
松も又、長寿の象徴です。松の下には必ず一羽の仙鶴がいます。

中国文化の中、何故、鶴が長寿の象徴となったのでしょう?
鶴⇒静の中に動がある動物⇒首が長い⇒
寝る時には首を臀部に隠します⇒
この様子を見て、昔の人たちは、「通任督二脈の象徴=周天の姿勢」
と捉えました。

今一つの特徴は、膝を上げて片足で立っています。
五戯鳥の中でこの片足立ちの動作は、人体のバランス性を鍛えます。

人の歳と身体調整能力の関係は?
歳をとるに従い、人は身体調整能力が衰えてきます。
階段を上る時など自分でも如実に分かります⇒
身体のあちこちに問題が生じてきます。

≪鳥伸≫
核となる動作は、任督二脈を引き上げます。
まず、体をこんな風に引き伸ばしていきます。
この過程で、尾閭は引き上げられます。
それから、背中全体が反った形になります⇒督脈の鍛錬。
同時に前面~体を反る⇒≪鹿奔≫を思い出してください⇒
脊椎全体が外に丸く張り出される⇒任脈は内側に縮みます⇒
この鳥伸は、鹿奔と逆の動作になります⇒
督脈の方が内側に縮んでいます⇒任脈は前に張り出されます⇒
鹿奔、鶴伸、動作は異なりますが、どちらも任督脈を鍛えています。

この動作を行う時には肩を上げて、首をすくめるようにしています。
こんな動作を滅多にする機会はありません⇒肩を放松させます⇒
両腕を上に伸ばす~開と合⇒肺気の開合。

動作を行う上で大切なのは、必ず百会を上げておくこと⇒
任督脈が湾曲していたとしても、百会と会陰は連なっていなければなりません。

上に伸びてから下に沈み~それから手指の形が変化します⇒
≪鳥翅≫⇒肺経と大腸経、心経、小腸経、心包経と三焦経が刺激されます。

鳥が後ろに翅を広げるときには、片方の足を後ろに挙げます⇒
バランス感覚を養います。仙鶴の片足立ちと似た動き⇒
人体の運動協調性を養います⇒とても伸びやかで美しい動作です。


≪鳥飛≫
この動作は、とても優美です。
上に向かう動作⇒腿を上げてから下に沈み、再び上がって~また下に。
大きな鳥が翼が広げているようです。

この動作は肺の通りを良くします。
二つある肺⇒西洋人が天使を描く時、背中に翅をつけます⇒
中国人は、この二つの翅を上下に動かすことによって
経絡の通りを良くしています。

腕を上下にする運動は、どのようにして肺に効果を出すのでしょうか?
先に、肺について学びましょう。
理由を知ることによって、より正確に動く意味を認識することとなります⇒
「肺主一身之気」⇒私たちが苛立ったりした時~現在の人々はストレスが
多い生活を送っています。その影響は肺に及びます。

例えば、頭部の気機(気血の流れ)が影響を受けた場合、禿が表れます。
体に影響した場合、神経性皮膚炎が生じます。
これら皮膚系統の病は肺に関わっています⇒「肺主皮毛」

興味のある現象を紹介します。
肘関節や手の関節は、肺気と相関しています。
「肺主皮毛」⇒鳥飛の中では、開合の動作があります⇒
開と合は、実際的に皮と毛の表現です。

皮⇒私たちの体を包み収めています⇒合。
毛⇒人体の毛穴⇒外に向かって発散⇒開。
このように、開合と肺主皮毛を関連づけることが可能です⇒
いつも、腕を開合させていると肺の鍛錬となります。

肺を鍛える鳥伸と鳥飛の動作は、毎日続けてください。
肺には特別な現象があります⇒
私たちが母体にいた胎児の頃に、各臓器は仕事を始めますが、
肺は全てを労働に投入していません。
胎児は靭帯を通して呼吸をしています。
母体から出て初めて、即、呼吸方式が肺呼吸に変わるのです⇒
生まれて直ぐの子供の第一声は、鳴き声⇒
「哭」によって肺葉を開くことができる。

肺は、甘えんぼうの臓器と呼ばれています。
生まれてから働き始める⇒赤ん坊が涙を流さずに、
声を上げ(泣く)たといって、すぐに抱き上げない⇒哭く=肺の鍛錬。

肺を鍛えるのに適したものは。。。
水泳やジョギングは、どちらかというと全身運動。
健身気功の鳥戯、八段錦の左右開弓似射彫の動作は、
まさに肺を鍛錬する方法です。
色々な肺を鍛える動作の中で、一番優美なのは鳥伸と鳥飛です。


最後に五禽戯をまとめましょう。
この気功は健身気功の中でも古くから存在する動きです。
動物の形や動きを真似て作られたコンビネーションは、
練習者たちの気持ちを楽しくさせてます。

練習に際しては、套路を通しても良いし~
個別に練習しても大丈夫です⇒
ご飯を食べた後には「熊戯」、
肺が虚弱な時や季節が移り替わる時には「鳥戯」~
体の調子が悪い時、どの動作が適しているのかを考えて、
その動きを行う~という方法もあります。

西洋と中国では身体鍛錬の方法が異なります。
華佗は、体に相応しい鍛錬の程度を、「全身に汗が染み出てくるくらい=
流れるほどまで鍛えない」と言っていた⇒
西洋では、運動に際しては大汗を流します。

大汗を流す⇒中医から説明すると~≪汗為心液≫⇒
汗は心液の外散⇒高齢者が大汗をかくと、心液を損なう⇒
サウナなどには、心臓疾患のある人の利用には注意を促しています⇒
大汗をかく弊害。

練習を積み重ねるうちに、
全身が温かくほぐれてくるような感覚が出てきます⇒
末梢まで気血が巡るようになる⇒
手指、腹、足など全てに⇒
最近の女子たちによくある手指が冷たいという問題も解消できます。